キーワードで検索する!  
久米島からのレポート

久米島からのレポート

 
2007年09月01日(土)
今年の夏休みもとうとう終わりました。

こども達は、元気に学校へと通い始めています。


いつの頃からか、夏になると

どこまでも強く明るい日差しと浮かれて華やぐバカンス気分が、

鮮明であればあるほど、払拭できない戦争という影の輪郭が、

陽炎の揺らぐ熱い空気と、線香の青い煙を、緩やかにまといながら、

決して消えることのない強い憤りとして、蘇えります。



今、尚、基地のあるコザの町、

沖縄という地で生まれ育った私には、戦争に駆りだされた父と

遠い外国で移民となって暮らした母の体験が

戦後でありながら、戦後とはいえない

沖縄の深い悲しさを、常に身近に感じさせているのです。



もう、随分昔のことですが、

夏休みにお盆で集まる小さな私や、年の近い従兄弟達は、

戦争で手や足を失った叔父や叔母に会うことが

とても、恐ろしかったことを覚えています。



それは、叔父や叔母が、怖い人だったのではなく

叔父や叔母の瞳の奥に棲みついてしまった

取り返すことの出来ない悪夢の影の

圧し掛かるような息苦しさを

風にたなびく空虚な片袖や、不自然な形に歪んだズボンの裾先に

時折見せる、淋しそうな背中から

幼いながらも嗅ぎ取っていたからなのかもしれません。


あの頃の幼い私達のように、”恐ろしいこと”として、

胸に響く戦争の苦悩を、語ってもらうことも、傷痕を目にすることも

今のこども達は、経験することはないでしょう。

それでも、戦争の悲劇と恐ろしさを

語る人の姿勢から、しっかりと受け取ることができると信じています。




今年の夏、北九州市の小倉で、「九州こどもホタレンジャーサミット」

が開催され、参加した日の夜の散策中に、

『山田緑地』の中にある旧日本軍の弾薬庫跡を偶然目にしました。



今では、すっかり緑に覆われ、案内のガイドの方から

教えていただかなければ、素通りしてしまうほどでしたが、

若いガイドの「あの長崎に落とされた原爆は、

本当は、この場所に落とされるはずでした。」と、

原爆が投下されたことが問題であって、

原爆の投下先が、問題になるわけではないのですが

少しだけ声のトーンが変わったことに、

戦争の傷痕から、目を反らさない誠実さを、感じることが出来ました。



『山田緑地』は、かつて旧日本軍の弾薬庫として

使用され、第二次世界大戦の後に米軍に利用されてのち、

昭和47年に返還されるまでの約半世紀、

一般の人の利用は、厳しく制限されていたために

今も尚、昔のままの豊かな自然が残されているそうです。

もし、原爆が落ちていたとしたら、この緑地に生息している

沢山の生きもの達も、今の姿のままに生き残ってはいなかったでしょう。



『山田緑地』の豊かな自然は、

奇跡のような偶然で、原爆の被害と、

その後の開発の被害から逃れたのだと云えるのかもしれません。


沖縄や、この久米島にも、

そういう場所や、人が、まだ少し、残されています。

でも、語ることが継承され続けなければ、

『山田緑地』のように、原爆の悲劇を想像することが出来ません。



私は、日本という国が、過去に犯した戦争という過ちを、

悲劇として、忘れるだけで、済ましてはいけないと想います。

本当に信じられないほどの命と命が、

殺しあわなければならなかったという恐ろしさを

繋ぎとめ、悔い続けなければなりません。



それは、怨み続けるためでなく、許し続けるために

忘れてはいけないのだと想っているのです。




本ページ「久米島からのレポート」掲載情報の著作権は、佐藤 直美氏に帰属します。
Copyright c 2005 Sato Naomi All Rights Reserved.

しまんちゅレポーター

佐藤 直美
著者:佐藤 直美
久米島ホタルの会
事務局代表
◆久米島ホタルガイド
◆久米島ホタルの会
◆ホタルの国から

2007年09月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
最近のエントリー
アーカイブス
他島のしまんちゅレポート
久米島関連情報
利用規約/免責事項プライバシーポリシーリンクポリシー広告について運営についてサイト推薦・登録求人情報お問合せヘルプ
Copyright © 2005-07 NatureOKinawa All Rights Reserved.
沖縄の自然と環境総合情報サイト ネイチャーオキナワ NatureOkinawa.com
マネージド専用サーバのことならテトラビット
本ウェブサイトは 有限会社テトラビットサーバ技術を活用し運用されています。  powered by TETRABIT(テトラビット)