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久米島からのレポート

久米島からのレポート

 
2007年01月10日(水)
沖縄の風物詩サトウキビ畑、寒さが厳しくなる厳寒期。

この久米島でも、キビ倒し(ウージトーシィー)が始まりました。

しかし、なんとこのサトウキビ畑に巣を作ったキジバトには、

とんでもない災難が、おきてしまい、

畑の持ち主の配慮から

久米島ホタル館へとそのキジバトの雛は、持ち込まれました。


保護されて持ち込まれたキジバトの雛

ブログの『ホタルの国から』にも書いているように、

野生の生きもの達への介入は、けっして望んでいるわけではありません。

それは、何よりも野生の生きものを

尊重したいという気持ちが一番にあるからです。

理不尽なことに、野生の生きものをかわいがればかわいがるほど、

その生きものに関わりすぎてしまい、

生きもの本来の生き方ではなくなってしまう危険があるのです。

それは、多くの物語(例えば、ごんぎつね)や

映画(例えば、仔鹿物語など)にも描かれる様に

人と野生動物の宿命としての切ない別れとして、表現されています。

傷病鳥に関しても、彼らの生活圏である自然環境への

ある意味強引な介入によって起きる様々な障害への反省と

責任の自覚から進んで手を出していますが、

雛を育てることに関しても

原則として、できる限り避けたいとは考えています。

特に、身体の小さな小鳥は、腹持ちが悪く、日中1時間おき位に

餌を与えなければ、栄養失調の状態になりかねません。

      
アミハラ飼養14日目

何より大変なのは、食道と気道が、簡単に言えば、

開けた口の上と下にあって、ちょっとでも気道に餌が入ってしまうと

直ぐに窒息してしまうのです。

もちろん餌も、代用食がほとんどで、抵抗力が衰え病気にも罹りやすく

苦労して一人前に育てて放鳥しても、はたしてどれほど生きてくれるのか?

そういった不安もあります。

その上で、どうしても親鳥に帰せないのであれば、残念なことに

腹を決めて飼養するしかありません。

以前育てたのは、外来種のアミハラ(シマキンパラ)という鳥ですが、

小さな子供が、「たすけて下さい・・。」と、差し出すその手の上の

わずか、4グラムの命をほっておくことができず、今とは違って

獣医師に頼ることもなく、どうしたらいいのか試行錯誤で、

爪楊枝の先に餌をつけて、夜明け前から夜ふけまで、

本当に我が子を育てるように、一生懸命愛情をそそいで飼養を行いましたが

アミハラ飼養開始直後

もうあと少しで、羽毛が生えそろうという処まで来て、

たった一回の誤嚥が、このアミハラの命を落としてしまいました。


確かに大きくなっても、一生を鳥かごの中でしか

過ごさせることができない外来種の鳥でしたが、

その後しばらくは、とても辛いものでした。

それでも、生きものに対して人の持つ憐憫の情を

受け止めることは、環境を守る上で大切なことだと想い

雛鳥の飼養については、今でも十分に考慮したうえで

私にできることであれば、惜しまず励みたいと想っているのです。


 
2007年01月29日(月)
今年も、母の手作りのムーチーが届きました。

沖縄本島と久米島は、それほど遠くない距離だとおもっていたのですが、

生活の基盤が違ってしまえば、なかなか逢うことが出来ず

気が付けば実家は、遠い故郷になってしまいました。

年老いた母からの小包には、

我が子に対してのやさしい気づかいと

いくつになっても母としての気丈さが溢れていて、

サンニンの清清しい香りとともに、

今の平和な時代を、心からありがたく想うのです。


ムーチーは、旧暦12月8日に、

家族、特に子供たちの健康を祈願する仏前へのお供えものです。

私の実家で母が作るムーチーには、

普通のムーチーと鬼餅(ウニムーチー)の2種類を作り、

子供達には、願をかけたその大きな鬼餅を

年の数だけ特別に食べさせてくれました。


鬼餅の云われには、その昔、首里の金城に兄と妹が住んでいて

兄が大里に移ってから人を喰う鬼となり

妹はその兄を退治するために鉄の入った餅とふつうの餅を作って

自分はふつうのものを食べ、兄には鉄の方を渡したそうです。

鉄餅を食べられず困っている兄の前で、わざと着物の裾を開げ

下の口を兄の目に入れ、それは何かと兄に問わせました。

『上の口は餅、下の口は鬼を食べるのよ』と答えると、

兄は驚いて崖から転げ落ち死んでしまいました。

というのが鬼(厄)を払うありがたい鬼餅(ウニムーチー)の由来です。


けれども、食料の乏しい時代には、その言い伝え以外にも

幼い子どもに少しでも沢山食べさせてあげたいと願う親心から、

もしかしたら、鬼餅は作られたのではないかと想うのです。


食料に溢れたこの時代ですが、家族の多い我が家では、

ほんのときどき、夕餉のおかずの数が足りなくなることがあります。

そんなときは、ほしがる子ども達へお父さんも私も、

自分のおかずを当然のように分け与えようとします。

真ん中と下の子は、大喜びしますが、

分別がつき始めた10歳になる長男は、

「お父さんもお母さんも食べたいはずだから」と

けっして食べようとしません。

この時にふっと、想像したのが、この鬼餅の風習でした。


真に平等な人の暮らしというものは、強いものが、弱いものを補いながら

助け合って生きなければいけませんが、そのような関係は、

なかなか知ることができません。

そんな平等意識を頑なに偏って意識した場合には、

権力のあるものや優れた身体や頭脳

時には年齢などに応じた差別化が、

当然のように横行してしまうような気がするのです。

そんな時代背景から、乏しい食料を、弱者である小さな子ども達に

遠慮させること無く食べさせるために、このような言い伝えを上手に使った

親がいたのかも知れないと想ったのでした。


昔話の時代には、その伝説に由来した戒めが、

モラルとして通用しました。

今でも、鳥居を置くと不法投棄が減るというご利益などを、

耳にするたびに、その戒めの効力を感じることができます。

私達人間の暮らしの中に息づいている、言い伝えや行事には、

歴史を踏まえた時代時代のユーモアやアイロニーと共に、

心を育むためのモラルが込められています。

こうした一年に一度の沖縄の伝統食の一つ、

ムーチーを頬張りながら、その願いと美味しさを共に

大切な次世代へと、伝えるためにも

環境と平和の維持に努めなくてはならないと想いました。

本ページ「久米島からのレポート」掲載情報の著作権は、佐藤 直美氏に帰属します。
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しまんちゅレポーター

佐藤 直美
著者:佐藤 直美
久米島ホタルの会
事務局代表
◆久米島ホタルガイド
◆久米島ホタルの会
◆ホタルの国から

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