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久米島からのレポート

久米島からのレポート

 
2006年06月04日(日)
 2006年6月2日の夕方、久米島の銭田漁港にイルカが迷い込んだ!

   と連絡があり、急いで港に駆けつけました。

港にいるイルカ見学の人達から話を聞くと、目撃されたのは午後2時ごろ

漁港にセメントを積み出すため停泊している大型サルベージ船の

碇を下ろしたロープの周りを同じようにぐるぐる回っていたとのことです。

 

とにかく、対応を相談しなくてはならないと沖縄県自然公園課に

連絡したところ、美ら島水族館・海獣係の東さんへ

連絡を取ることを進められ

東さんには、以前からお世話になっていたため

快く相談に乗っていただくことが出来ました。


種類の確認は、写真を送り、マダライルカの若い成体だということを、

そして対策については、久米島住民の判断に委ねることが

最善だということをアドバイスしていただきました。

(種類の識別は保護活動においても重要なため専門家の判断が

絶対に必要です。)

  
翌日、1週間位は、生き延びることが出来るという東さんの言葉から

住民の動きを待つことにして、現場には行きませんでしたが、

久米島町ダイビング協会の会長へ電話し、

相談に乗ってほしい旨を継げました。

会長は漁港からも相談があり、前向きに検討したいとのことなので、

東さんから教えていただいた捕獲する場合の方法や注意などを

細かく伝えました。


 
    その日はテレビの報道もあり、かなりの見学者がいたようです。

 
2006年06月06日(火)
2日目の夜間も、監視を続けてくれた方々がいました。

それを知らせてくれた方から、イルカは衰弱している様子で、

港の船を止めるロープに尾びれを絡めて動けなくなったところを

カヤックで近づき、助けた人もいたと聞きました。

また、船の後を追いかけて、一旦は沖のほうまで出たらしいのですが

同じ船を追いかけて再び港へ入ってきたという話も聞きました。



3日目の朝9時過ぎの電話から『漁民が、助けたいと言っている』

これは、住民からの要請という吉報となります。

急いで港に行くと、既に3人のダイバー(内一人は協会長です)

が、イルカと触れ合うように泳いでいます。



船上からイルカに餌をやっている漁民へは、

餌付けの恐れがあるため、止めましたが、

「捕獲判断はイルカと触れ合うダイバーの感覚を大切に。」

という東さんのアドバイスもあったので、泳ぎは続けてもらいました。

沖まで、一緒に泳いで連れ出せたなら最高、

しかし、再び港に入り込まないくらいの遠くに

連れ出すことができるかどうか・・・。

「捕獲の際、水から上げたイルカが

自らの体重を感じたショックで死んでしまうこともある。」

東さんの言葉が、重く圧し掛かります。


その後もしばらくは、東さんからの指示をダイバーに伝え、

ダイバーからは、イルカの状態を東さんに伝えました。


中でも、衰弱が心配されたイルカの体調は、

ダイバーからの、身体にぬめりがないという情報から、

状態が良いという判断になるなど、

直接触れなければ解からないことがあり

ダイバーには本当に感謝しました。
 
2006年06月06日(火)
イルカは警戒心がなさそうに、ダイバー達と泳いでいます。
しかし、ちょっとでも誘導しようとすると、するりと逃げてしまいます。

そのうち、子供達が港に飛び込み仲間入りを始めます。
遊泳に長けた大人たちが見守り、イルカとのめったにない
競泳を楽しんでいます。


(この時点では、イルカとのコミュニケーションのつもりでしたが、
 実は、この子供達のパワーが、イルカが港を出て行くきっかけを
 作ったのです。)

元気に泳ぐ、イルカと触れ合ったダイバー達は、
私を含めた見守る人々の応援を受け、
本格的に救護活動へと動き出します。

捕獲するには、一回勝負になるため、当然慎重になります。
捕獲用の網の準備、有志のダイバーの確保
(皆仕事を抱えていますから・・・)
船の手配や関わる人の安全について、・・・etc。

慎重になればなるほど、捕獲救出のスピードが鈍くなるのは
こういった事情が、ほとんどです。
(実際、安易な行動による事故が起こっていますから当然です。)

それでも、動こうとしてくれたダイバーの人柄に頭が下がります。

私とダイビング協会の会長は多くの人の知恵を借りるため、
3時間後に再度集まることにして一旦その場を引き上げました。

捕獲のリスクはイルカにも関わる人にも高いため
緊張と不安で私も会長もいっぱいでした。

その不安を、軽々と押しのけた連絡が、通信員から入ったときには、
思わず、「よかった〜!」と声に出してしまいました。

それは、昼過ぎに、3人のダイバーがイルカを泳いで誘導し、
港内から出したという連絡です。
(準備をしていた人たちは、肩透かしをくらってガクッと
 したかもしれませんが、イルカの無事を知って
 事情がわかれば、きっと喜んでくれるはずです。)

そのダイバーは、朝から付きっ切りの2人と、ダイビング協会員の
ダイバー1人、船で付き添ったのは、やはり関心を示してくれている
あの漁師さんでした。

しかし、湾外に出たイルカの背びれが堤防からまだ見えていたため、
東さんに相談したところ、
「無理は承知で、こんどは沖まで誘導してみてください。」
最善策ですが、こんどは外洋なのでダイバーの安全と体力が心配です。

それでも彼らは有志6名で船を出し、イルカの無事を確認してくれました。


ベテランダイバーの
「ここからなら沖のトンバラに向かうはずだから大丈夫。」
という一声に全員安堵の笑顔が広がり、港へ帰ることができました。

 
2006年06月06日(火)
こうして、3日間の銭田漁港内でのイルカ騒動は、
最高の解決法で終了することができました。


このような終結を迎えることができたのは、
何よりも美ら島水族館の東さんからの的確なアドバイスと、
久米島ダイビング協会の会長や関わりを持ってくれた人々の
協力がなければ絶対にありえませんでした。

本当に多くの必然と偶然が
微妙なタイミングで幸いしたと思います。

多くの見学者が昼も夜も見守ってくれたことで、
イルカの安全が確保されました。
これは、報道してくれたことが幸いしました。

イルカを心配して一緒に泳いだことで、
信頼感が生まれ沖まで誘導することができたのも、
リスクの高い捕獲に比べイルカにとって幸いでした。

別な見方をすれば、
勇み足だと思われる引率したダイバー達の行動も
海で働くという経験がなければ、できなかったことだと思います。

そして、意外だったのは子供たちのパワーをイルカが嫌がったこと
でした。(本来は、音を出して追い出さなければいけないので。)

これ以上長くいると餌を与えたり情が移ったりすることで、
妙に懐いてしまい、自然に帰すタイミングを失ってしまいます。

それが、子供達のパワーにイルカが疲れ、逃げ出したくなったところに、
朝からずっと寄り添ってくれたダイバーに助けを求めるかのように
港の外へついていったのではないかと思います。

泳いで連れ出してくれたことは、なんと言っても功労者です。
本当にご苦労様でした。イルカもきっと感謝していると思います。

最後に、工事現場でもあり、漁港という場所で様々な方が訪れ
怪我も無く無事に解決できたことを感謝し、
久米島安全対策協力会ダイバーの皆さんや、
漁民の皆さん、工事関係者の方々や温かく見守ってくださった
地域住民や観光客の皆様に、厚くお礼申し上げます。



3日間に亘る様々な人々のつながる想い『イルカを助けてあげたい』
という気持ちが今回実ったことが、久米島町自然公園監視員としての、
何よりの喜ばしい成果となりました。
御心配頂いた皆様、本当にありがとうございました。

              
 
2006年06月12日(月)
6月11日(日)午前7時、こんどはハナゴンドウという種類のイルカが

またしても、銭田漁港に迷い込んできてしまいました。



このイルカは、前回迷い込んできたマダライルカよりも一回り大きく

人を誘うような雰囲気はなく、縦横無尽に潜水するため、

出現場所がつかめません。

一番驚いたのは、クッキーカッターと呼ばれる

体に刻まれた傷の激しさです。

専門家によれば、この傷がハナゴンドウの特徴ということです。



翌日、久米島町環境保全課や漁港関係者、ダイバー関係者と

個別に意見を集約したところ

外洋に返したいのは、今すぐにでも行いたいのですが

息継ぎの間隔の長さや遊泳力から、出現位置がつかめないため

捕獲は非常に困難。追い込むことにしても漁港内をくまなく

網羅するには、人手が相当必要になります。

前回とは、事情が異なるため、このまましばらく

状況を見守りながら長期的に対策をとることとなりました。



しかし、見物者が港に出入りすれば、漁港で働く人に支障を

きたすことも考えられます。

また、港での事故を防ぐことや、見世物的な感覚での、

無謀な接触や餌付けなどは防がなくてはいけません。

そこで、環境保全課と相談し

注意を促す看板を設置することにしました。


 
2006年06月13日(火)
6月13日、午前7時20分、イルカ見学に出かけた知人から
イルカが打ち上げられているとの連絡が入りました。

それからしばらくして、ホタル館が火曜休館日のため、
たまたま見学にきていた職員からも電話があり、
波に流されないよう、浜辺に寄せてもらいました。

尾びれに巻いている青いナイロンロープは、波打ち際で浮いている
イルカを岸まで運ぶため、発見者の漁師がくくりつけたものです。

それを引っ張って彼女は岸にイルカを留めてくれていました。

前日の大雨による赤土のなごりが残る浜辺から
イルカの死を悼むかのように穏やかな海が広がっていました。



死亡したイルカは、今後の様々な環境指標や問題解決のために
計測とサンプリングを行ない資料として残す必要があります。

美ら海水族館の東さんからファックスで送っていただいた
59箇所の計測項目を30分ほどかけて
久米島町環境保全課と共に計測し記録しました。


計測後、サンプリングのため体の一部を切り取った後
防風林の砂地へ埋めました。

環境保全課のメンバーがショベルカーを使い深さ2メートル横幅3メートル
ほどの穴を掘り、イルカの身体を支えて丁寧に横たえてくれました。


元気に海へ返すことは、叶わなかったのですが、
いたずらに人目にさらされることなく速やかに自然の一部として
大地に帰すことができました。


前回と今回の終結に違いはありますが、
どちらも私達人間が野生動物に関わる、
現時点での最善を尽くすことができたのではないかと思っています。

今回も、美ら海水族館の東さんには、大変お世話になりました。

また、環境保全課の皆さん達とも同じ目線で対応して
いただけたことに深く感謝しています。

港で働いている漁民の皆さんや工事関係者の皆さん
そして、イルカの無事を願っていた多くの皆さんへ、

6月11日に目撃されたハナゴンドウのその後について
御報告させていただきます。





 
2006年06月13日(火)
6月に入ってイルカが、漁港に入る事件が、
立て続けに起きています。

イルカやクジラが生きて、あるいは死んで海岸に座礁する
現象をストランディングというそうです。

どうして、ストランディングが起きるのかについては、
いくつかの説があり、ひとつの理由だけでは
説明できない様々な事例が世界中で起きています。


その説には、

(雑な海底地形や海洋条件
海洋汚染
5ぞ歉魴錣琉化
な畤者からの逃避
ヅ形海瞭琶
γ麓Уい陵陲
П造凌篠匹
┝隻
浅瀬でのエコロケーションの失敗
社会的関係(集団の個体数制限「間引き」)
人間によって与えられた障害

           東京大学海洋研究所編 海の生きもの100不思議より
           ストランディングについてはこちら

などがあげられています。

特に近年、△鉢が大きくクローズアップされ始めています。
しかし、他の要因については今でも起こりえることなので、
△鉢の要因との見極めがきわめて難しくなっています。
たとえば、久米島では以下の事例も考えられるので
様々な複合的要因の連鎖の解明が特に重要になると思うのです。

久米島の銭田漁港は最近、港を掘り下げる工事をしています。
外海からイノー(礁湖)へ繋がる水路が
この工事による地形的な条件と合わさったことで
イルカを迷い込ませる要因になっているのだとしたら
これからも、後を絶たないのではないかと
心配するダイバーもいます。



また、何年も続く赤土の流出と資源の乱獲が、
海洋資源の減少につながって
結果としてイルカを消耗させ、本来は進入しないはずの
イノー→航路→港湾へと、さらには
エコロケーションの失敗と合わさって
深追いを引き起こさせているのでは
と考える人もいます。



自然環境や野生動物との関わりは、
実に多くの人間社会とのつながりがあることに
気づかされます。
その複雑な絡み合いを、
解明し解決していく姿勢に対し、
その行為自体に疲れ果て、
あきらめていくことが賢い選択だと
思うことは、人間の性から考えれば何の不思議もありません。

しかし、早々と原因を決めつけてしまって、
幾度も現実と向き合い繰り返し考え続けることを
拒否することは、やはり賢い選択とは思えません。
確かにどこかで割り切って、いくらか折り合いをつけることは
必要なことですが、時代や地域性という限界はあったとしても、
原因究明と解決のための真摯な姿勢はなくしてはいけないと思います。


この小さな島で起きている異変に、繊細に考え対応することが
私達の時代に求められ、試されているのではないでしょうか。






本ページ「久米島からのレポート」掲載情報の著作権は、佐藤 直美氏に帰属します。
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しまんちゅレポーター

佐藤 直美
著者:佐藤 直美
久米島ホタルの会
事務局代表
◆久米島ホタルガイド
◆久米島ホタルの会
◆ホタルの国から

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